ファクタリング被害対策弁護団を結成

新年度になりました。現在,コロナで大変な状況であり,私達の業務だけでなく,多方面で大変な影響が出ています。弊事務所にも,コロナを原因としたご相談も寄せられてきており,今後,経済的な面,特に破産や再生等の事件が増えるのではないかと危惧しています。

そのような中ですが,この3月27日に,消費者問題に携わっている弁護士を中心に,ファクタリング被害対策弁護団を結成しました。代表は池袋市民法律事務所の釜井英法弁護士で,私も昨年度の消費者委員会の委員長であった関係で,副代表ということになっています。

近時,被害が増えている悪質な「給料ファクタリング」とは,業者が給与所得者等から,賃金債権(の一部)の譲渡を受けたという形式で,資金融通サービスを行うものです。

利用者はほとんどの場合,手数料として利息制限法(年率15~20%)をはるかに超えた手数料を徴収されています。例えば,利用者は賃金債権の一部である10万円分を給料ファクタリング業者に譲渡したことにして,手数料2万円を差し引かれた8万円を業者から受け取ります。その上で,給与支給日の後に設定された支払期日に,当該業者に対し,譲渡済み債権を代理受領したので引き渡すという名目で,10万円を支払います。業者は,これは「債権の売買」であって「金銭の貸付」ではないから,利息制限法・出資法・貸金業法は適用されないと主張します。しかしこれは,実質的には,8万円を借りて10万円を支払うのと同じですから(支払期日が1か月後であれば年利換算で年300%),貸金業法違反(無登録営業),利息制限法違反,出資法違反(高金利)のヤミ金と同等といえます。

金融庁は,2020年3月5日,給料ファクタリングは,貸金業法2条1項の「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法」すなわち「金銭の貸付」に該当すると考えられることを明らかにしました。(2020年3月5日付け金融庁回答,2020年2月27日付け金融庁に対する照会)

したがって,ファクタリングの手数料(債権額と買取金額の差額)が年利換算で利息制限法の利率(年15~20%)を超えるときは,その制限超過部分は無効となるので,利息制限法による引き直し計算をする必要があります。

ファクタリング被害対策弁護団は,上記のような違法性が指摘される給料ファクタリングと悪質な事業者ファクタリングによる被害の回復と防止を目的として結成された弁護団です。コロナの影響で,経済情勢が悪くなるに従って,悪質な業者の被害に遭う方も増えてくるかもしれません,是非,ご相談頂ければと思います。

給料ファクタリング被害対策ホットライン
03-5951-8555
受付期間
2020年3月30日(月)~4月3日(金)
2020年4月20日(月)~4月24日(金)
10時~18時

くわしくはこちらをご覧ください↓
https://www.stop-factoring.com/home

NHKのWEBニュースでも紹介されました。(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200401/k10012362741000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_001)