金融商品取引のトラブル相談Q&A(民事法研究会)を執筆・編集

このたび、準備期間約1年半をかけて、民事法研究会から、 「金融商品取引のトラブル相談 Q&A」を発刊しました。私は、執筆担当と編集委員の1人として、この書籍発刊の準備に携わってきましたので、ようやく完成してほっとしております。

以下、編集委員で執筆した、この本のはしがきを貼り付けておきます。是非、多くの方に手を取って頂けると幸いです。

【はしがき】

 このたび、執筆開始から約1年半をかけて、「金融商品取引のトラブル相談 Q&A」を発刊することができました。

この「金融商品取引のトラブル相談 Q&A」は、日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会・金融サービス部会のメンバーが協力して執筆したものです。これまで、同じ金融サービス部会では、主として個人投資家の投資被害救済に向けた、「金融商品被害救済の手引」(初版〜六訂版)を執筆しておりましたが、これを新たにQ&Aの形にし、できるだけ平易な表現を心掛け、最新の法改正や裁判例などを取り入れるなどして書き下ろした内容となっています。

近時、「資産所得倍増プラン」のもと、投資に関心を持つ人が増えていると言われる一方、いわゆる仕組債などの複雑な金融商品や、SNS型投資詐欺等の被害に遭う人も増加しています。これらの被害予防や救済にあたっては、金融商品に関する正確な理解が必要です。

他方で金融商品取引に関しては、金融商品取引法(金商法)と金融サービス提供法(金サ法)を中心とした法体系になっていますが、金商法は毎年のように法改正され、弁護士でも理解が困難な法律です。また金サ法も、近時の法改正で法律の性質が変容し、法律の名称自体が「金融サービスの提供に関する法律」から「金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律」に改称されるなど、大きな変容期に差し掛かっているといえます。

特に、2023年11月20日に成立した「金融商品取引法等の一部を改正する法律」(令和5年11月29日法律第79号)では、金商法における説明義務の法定化や四半期報告書の廃止、金サ法における誠実公正義務(顧客等の最善の利益義務)の横断化や金融経済教育推進機構の設立など、極めて重要な法改正がなされました(なお2023年改正のうち、四半期報告書の廃止や金融経済教育に関わる条文については既に施行されましたが、それ以外の改正箇所に関しては、公布日から1年6月を超えない日を施行日とされるなど、未施行の条文があることは注意が必要です。)。

本書は、これら最新の法改正も踏まえた内容となっており、是非、金融商品取引トラブルの相談・救済に向けて活動されている多くにみなさまに、手に取って役立てて頂ければ幸いです。

最後になりますが、本書の編集作業については、同じく金融サービス部会のメンバーである、桜井健夫、坂勇一郎、神野直弘、島 幸明の4名で、協力して行いました。また、民事法研究会の野間沙也奈様には、大変お世話になりました。この場を借りて深く感謝いたします。

2024年5月吉日

編集委員 桜井健夫、坂勇一郎、神野直弘、島 幸明

 

金融商品取引のトラブルQ&A