故 上柳敏郎弁護士を偲んで(寄稿)

令和5年6月7日、故上柳敏郎弁護士のお別れ会に出席してきました。お別れ会には弁護士だけでなく、国際人権団体の方、学者の方、経営者の方、ご学友の方、教え子の方など、様々な分野から数百名が参加していました。

上柳先生は、日弁連消費者委員会に長く所属されており、私はそれ以外でも約10年、私的な勉強会でご一緒させて頂いていました。

上柳先生は、弁護士の間では非常に著名ですが、一般の方はご存知ない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、上柳先生の業績は、ものすごいものです(http://www.surugadai.org/attorneys/tugyouseki.pdf)。上柳先生と同じ事務所の小島先生は、上柳先生のことを「現代最高の知性の1人」と称されていましたが、本当にそのとおりと思います。

また、上柳先生のような方が法曹実務家として地道に活動されていたからこそ、この国が最悪な方向に行き着かず、踏みとどまっていたのではないかと思います。

最後に、上柳先生を悼む文集に寄稿した、拙稿を下記でも残しておきます。心よりご冥福をお祈りします。

 

上柳先生への感謝

皆様

次回金商研は9月22日(木)18時30分です。ZoomURLは下記の通りです。

よろしくお願いいたします。上柳敏郎

上柳先生からは、令和4年7月21日に上記のようなメールを頂いていた。それだけに、勉強会前日である9月21日に上柳先生の訃報を聞いた時は、しばらく言葉も見付からなかった。

上柳先生とは約10年、「金商研」という名称の勉強会をご一緒させて頂いていた。上柳先生以外のメンバーも大先輩ばかりで、私は末席中の末席である。完全な力不足であることは自覚していたが、上柳先生を始めとする先輩方は皆優しく、何の貢献もできていない私を仲間に迎え、色々と教えてくれた。勉強会の後には、たまに東京駿河台法律事務所の近くのタイ料理や上海料理のお店で懇親会をすることがあったが、上柳先生はお酒の席で学生時代にハンドボールをしていた話などをにこやかに話して下さり、嬉しかった。

上柳先生は、審議会のメンバーを長く務めた金融分野の専門家であるばかりでなく、国際人権問題、スポーツ法、労働法や環境法など、どの分野でも一流であった。弁護士を志す前は官僚になろうと思っていた、ということだから、本当にどの分野・職業を選んでいても成功した方であったと思う。

しかし上柳先生は、そのようなご自身の能力やリソースを、世の中が少しでも良くなる為に、正しいと思うことの為に、困っている人の為にのみ向けていた。

そして、このように才能や能力に溢れた方は、どこか我が強かったり、プライドが高かったり、癖があったりするのが一般的なように思うが、上柳先生にはそのようなところは一切なかった。私の知る限り、様々な個性の集団である弁護士の中で、一番の人格者であったと断言して差し支えないと思う。

そんな上柳先生は、私達勉強会のメンバーにも、ご病気の事について、一切弱音を吐くこともないまま、勉強会の前日に亡くなられてしまった。世の中全体にとって大きな大きな損失であり、本当に、悲しい。

上柳先生、いつも優しく接して下さって、本当にありがとうございました。上柳先生のご遺志を僅かでも継げるよう、頑張ります。安らかに、お休み下さい。