「BH」の取引(ミャンマーの不動産に係る連鎖販売取引)についてクーリング・オフ等を認める判決(東京高判平成30年8月28日)を獲得

久しぶりに投稿します。
この間,ケフィア事業振興会の件など様々な事があったのですが,それらの報告はまた別にするとして,今回は,「BH」(ビーエイチ。ブルーハウスなどと記載されたものもある)という会社が運営していた,ミャンマー所在の不動産の「スペース区画権」なるものの連鎖販売取引に関し,クーリング・オフ等を認める判決(東京高裁平成30年8月28日判決)を獲得しましたので,その報告です。
この件については,昨年の段階から受任して,仮差押や訴訟を行ってきました。今回,上記取引について原告の請求を全額認容する判決を獲得し(上告はなされず確定),強制執行をすることで一定の被害回復を受けることができました。
この点,今回の手続で,不法行為でなく特定商取引法(特商法)のクーリング・オフ等に基づく請求を選択したのは,日本国内にある財産の仮差押等の便宜のためです。会社側は,海外法人との契約のため特商法は適用されないなどと主張をして争いましたが,当然,そのような主張は認められませんでした。
この種事案で,特商法を活用して被害回復がなされたケースは珍しいかと思いましたので,報告します。判決要旨は下記です。

【判決要旨】

「本件契約は,前記前提事実⑴イのとおり, 被控訴人が「BH」という会社の会員になり,ミャンマー所在の不動産の「スペース区画権」を購入し,宿泊する会員権を取得し,また,新規メンバーを直接紹介することによって支払われる直紹介ボーナス,下位のメンバーが紹介したことによる差額を上位メンバーが受け取る差額ボーナス等を得られるなどという内容のものであって,上記1の認定判断のとおり, 本件契約の相手方は控訴人であり , 前記前提事実⑴アのとおり,被控訴人は,本件契約の申込みをして●●●円を控訴人名義の口座に振り込んだのである。これらの事実によると,控訴人が,ミャンマ一所在の不動産に宿泊して施設を利用する権利ないし役務の提供を受ける権利としての特商法33条所定の商品の販売の事業を行い,被控訴人との間で,係る商品の購入者を販売業者である控訴人に紹介(あっせん)することによって,その取引料からボーナスないしインセンティブと称する特定利益が得られると誘引し,対価を振り込み支払わせて特定負担を伴う取引を行ったものと認められ,その取引は,同条にいう連鎖販売取引に当たる」
「そして,被控訴人が,本件契約に際し,特商法 37条2項所定の事項について内容を明らかにした契約書面や,同法37条1項所定の概要書面の交付を受けたことについての主張,立証はないから,契約の解除(特商法40条1項)又は中途解約(同法40条の2の第1項)をすることができる」