離婚慰謝料(離婚による慰謝料)の額について
- 2016.05.11
- 4 業務ー離婚・相続等
最近,私が取り扱う案件のうち,離婚事件の割合が増えています。 今年も,まだ4か月が経過したばかりですが,新規のご相談のうち,3割以上が離婚事件という状況です。
したがって,このブログでもこれから何回かに分けて,離婚事件について書いていきたいと思います。
離婚のご相談を受けた時に,よくされる質問の1つが,「慰謝料はいくら請求できますか?」というものがあります。
これに対しては,私は概ね以下のとおり回答しています。
1 まず誤解してはいけないのは,慰謝料は,どんなケースでも請求できる訳ではない,ということです。
慰謝料を請求するには,法律上は,相手方当事者に違法行為(分かり易いものと しては,不貞や暴力行為など)が存在することが前提となります。たまに,この点について誤解されていて,離婚する場合は常に慰謝料が発生すると考えていらっしゃる方がおられますので,まずこの点をご説明します。(法的にいえば,離婚慰謝料は,婚姻破綻の原因について主として責任がある配偶者の一方が,不法行為に基づいて,離婚に伴う他方当事者の精神的苦痛に対して支払うもの,と整理されます。)
2 依頼者の方が最も聞きたいのは,いくらくらいが「相場」か,というところでしょう。これは,簡単には回答を導くことはできませんが,私は日本での離婚慰謝料は,「だいたい,新車一台分」が相場です,とお答えしています。
新車にも,軽自動車からベンツまで,さまざまなものがあるでしょう。だいたい100万円くらいから,高いものでは数百万円ということになりますが,平均すれば200〜300万円ということになります。これが,だいたいの日本における離婚慰謝料の相場といえます。
上記の範囲で,具体的にいくらになるかは,離婚期間や離婚に至る経緯,子の有無など,個別の事情で決めることになります。
ちなみに,私が判決で獲得した中で,最も高い金額の慰謝料は,800万円でした。これは一方に不貞があった事案で精神的苦痛が大きく,また双方の社会的地位が高かったことも影響した結果です。 この事件では控訴されましたが高等裁判所でも結論が維持されました。
3 もっとも慰謝料が発生する事案において,全てが判決によるわけではなく,当事者の協議や調停,和解で解決する場合がほとんどです。
当事者双方が慰謝料の額について合意ができれば,その金額はいくらでも構わないということになります。これは当然といえば当然ですが,大事なことです。
以上が概要ですが,問題は個別の事案でいくらを請求することができるかですので,詳細についてはご相談頂きたいと思います。
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