現金を送付させる詐欺について私設私書箱業者の責任を認める判決(東京地判平成26年12月11日)

最近、新しい弁護団事件ばかりですが、今度はスカウト詐欺(エステ詐欺)被害対策弁護団を結成しました。年末年始も受付をしています。お心当たりの方はお電話下さい。
1 事案の概要                                アルバイトに応募したり、街でモデル等にスカウトされた若い女性に対して、「無料でエステを受けられる」等と勧誘し、高額な化粧品や宝石をクレジットで契約させていた。                                   毎月、契約者の口座にはクレジットの返済分が振り込まれていたが、その後、販社より連絡を受けて、クレジットに対し中途解約の通知を出したところ、販社からの入金もなくなったが、クレジットの引き落としもなくなった。            これで、終了したと思っていたところ、2年を経過した今、債権を譲り受けたという(株)イー・グレースから集団提訴された。
2 弁護団の結成と相談の受付
詳しくはこちら或いはこちらをご覧ください。
㈱イー・グレースから訴訟を提起された方の相談を受け付けております。相談希望の場合は、下記の荻窪事務所までご連絡ください。
TEL.03-3391-3061 もしくは 03-3391-3064
お電話が混み合って繋がりにくいかもしれませんが、ご了承ください。

※ 12月26日までは、上記受付時間(午前10時~午後6時)にお電話ください。
※ 年末年始ですが、特別に電話受付します。
12月27日~12月30日、1月3日、1月4日
受付時間 午前10時~12時、午後1時~5時
12月31日、1月1日、1月2日は休みです。

最近は,振り込め詐欺救済法によって,犯罪利用預金口座が迅速に凍結されてしまうことなどから,振り込みではなく,現金を交付させたり,レターパックなどで郵送させる詐欺が急増しています。
http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/kachoukin/doc/140408_shiryou2-3-3.pdf
レターパックを扱うゆうちょ銀行も,レターパックに「ご注意ください!レターパックを使った詐欺犯罪が増えています【※「レターパックで現金を送れ」は全て詐欺です。】」
http://www.post.japanpost.jp/notification/pressrelease/2014/00_honsha/0703_01.html
これらの詐欺においては,レターパックを受け取る私設私書箱がいわゆる受け子的役割を担っています。そして,施設私書箱は,犯罪収益移転防止法上の特定事業者でありながら,適切な本人確認等をしていないことが多々あります。
そこで,これらの私設私書箱を経営する会社及びその代表者について,詐欺(不法行為)の幇助者としての責任を追及する裁判をしていたところ,この度,両者の責任(会社法429条,350条)を認める判決をもらいました(東京地裁民事35部合議,平成26年12月11日)。
判決では,犯罪収益移転防止法の趣旨等からすれば,特定事業者は,「単に本人確認や疑わしい取引の届出を行えばよいのではなく,契約締結時や個別の取引の際の事情から顧客等が犯罪収益を移転しようとしている疑いがある場合には,かかる事情についてより詳細な確認を行い,かかる疑いが払拭されない限りは取引を停止しなければならないという条理上の注意義務を負っていたというべきである」とした上で,重過失でこれを怠ったとして,代表者を含めてその責任を認めました。上記規範部分は当然ではありますが一般化できると思います。
この種の詐欺について,私設私書箱の責任を明確に認めた裁判例は,私が知る限りほとんどないと思いますので,ご報告する次第です。