糖尿病に関する医療過誤事案について,勝訴判決を獲得しました。

 平成25年12月26日,さいたま地裁第1民事部(裁判長:窪木稔)において,当方の主張をほぼ全面的に認容する勝訴判決を獲得しました(元金約4680万円及び遅延損害金,さいたま地裁平成24年(ワ)第1017号損害賠償請求事件)。

1 本件は,糖尿病に罹患し,血糖値の自己測定及びインスリン注射による治療をしていた故人(死亡時は満63歳)が,平成22年2月20日,低血糖による昏睡により脳神経外科病院に搬送され,主治医である医師の判断により入院することになったところ,入院中,当然に行うべき定期的な血糖値測定及びインスリン注射等を怠り,またDKA(糖尿病性ケトアシドーシス)の発症がみられたにもかわらず,血糖値が1000以上になるまでこれを放置し,故人を6日後に死亡させたという事案です。

2 本判決は,当方(遺族)の主張を全面的に認め,病院側に,①定期的な血糖値測定を行い,適切なインスリン投与を行うべき注意義務があったのにこれを怠った過失,②DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)の発症を疑わせる徴表があったのに,なお血糖値測定及びインスリン投与を怠った過失,という二重の過失の存在を認め,病院と主治医であった松浦浩医師に対し,不法行為に基づく損害賠償請求を認容しました。

3 損害については,死亡時は退職して無職であったものの,①年金支給分に係る逸失利益(14年の喪失期間)のほか,②就労の意欲等があったものとして,労働能力喪失にかかる逸失利益(70歳以上の平均賃金。7年間の喪失期間)を認めました。

 ご遺族は,糖尿病が一般的な病気であるにもかかわらず,これについて,知識のなさすぎる医師がいることに納得できず,裁判を闘ってきました。判決が出たことによって故人が帰ってくる訳ではありませんが,このような1つの結果が得られたのは,協力して頂いた医師の皆様のお力添え等は勿論ですが,諦めずに闘ってきた,ご遺族の頑張りが一番であると思っております。                  私も,絶対に負ける訳にいかないと思っていましたので,一定の満足いく結果が出て,ほっとしました。本年も,どんな案件も1つ1つ頑張ります。