公務執行妨害罪の事案で無罪判決を獲得しました (H25.4.1追記)

平成25年3月13日,1年余り担当してきた公務執行妨害罪の事案で,無罪判決をもらいました。
よく言われることですが,日本の刑事裁判の有罪率は99.9%を超えています。http://ja.wikipedia.org/wiki/日本の刑事司法
このような統計になっているのは,様々な要因によるでしょうが,検察官において相応のスクリーニングをしていることがその主因であることは間違いないと思います。
勿論,検察官において,何でもかんでも起訴すればよい,というものでないことは言うまでもありません。特に,長期の身柄拘束を続けて捜査機関の意に沿った供述を得ようとする,いわゆる「人質司法」のもとでは,起訴されること自体で甚大な身体的・精神的負担を強いられることになります。その観点から言えば,検察官において,起訴・不起訴の判断を慎重にすることは,間違っているとはいえません。
しかし,余りに高い有罪率は裁判官に先入観を与え,無罪判決を下すのに抵抗感を与えるという悪影響を及ぼしかねません。「人質司法」の弊害は,不当な身柄拘束を避けることによって正すべきで,ましてや,検察官が起訴したという事実自体が裁判官の心証に影響を与えるようなことは,あってはならないと思います。
今回の事案は,警察官に対する暴行行為の有無が争点になっていたのですが,そもそも,起訴をすべき事案ですらなかったと考えていました。もっと言えば,逮捕すらされるべき事案でなかったと考えていました。依頼者の方の身柄拘束自体は,受任してすぐに勾留請求に対する準抗告が認められて,解放されていたのですが(この辺りの経緯は,この記事で若干書いてあります。http://nishiginzalaw.com/wordpress/shima/2012/03/15/勾留決定に対する準抗告/),身柄が釈放されていなければ,どうなっていたかと思います。私としては,無罪判決を受けて,本当にほっとすると共に,依頼者やそのご家族に喜んで頂いて,とても嬉しい気持ちになりました。
また,この事案では,現場に複数回足を運び,依頼者の方とも打ち合わせを繰り返しており,その成果が形となったという思いや,弁護士になってから一度は無罪判決を獲得したいと考えていた思いが実現でき,個人的にも大きな充実感を得ることができました。
事案を素直に,正しく判断してくれた裁判官や,全ての関係者の方に感謝します。

(H25.4.1追記)
上記判決は,検察側から控訴がなされず,確定しました。