為替デリバティブ取引(通貨オプション取引) の被害 と研究会の実施

近時,銀行や証券会社等の金融機関が,主に平成14年ころから平成18年ころにかけて,中小企業に販売した,為替デリバティブ取引について,被害が続発している。
為替デリバティブ取引にはいくつかの種類がある。例えば「ゼロコスト・オプション」などといわれる通貨オプション取引の場合,外貨の「コールオプション」の買いと,その3倍に相当する「プットオプション」の売り取引を,10年間分組み合わせて,1つのセットにして契約させる。これは,10年先の為替予約をさせるのと同様の取引となるが,10年先の為替の予測などできるはずがないことは当然である。そして,この取引は中途解約をしようとすると多額の違約金を請求されることになって,中小企業にとって不測の,多額の損害を生じさせる結果となっているのである。このような不合理な取引を,中小企業が最も頼りにしているメインバンクが勧誘していたのであるから,本当にひどい話である。
(詳細は,私が事務局長を務める東京投資被害弁護士研究会のHPも参照して頂きたい。平成24年11月29日には,桜井弁護士・上柳弁護士を講師に,この問題に特化した研究会も実施した。http://www.tokyosakimonosyokenhigai.com/toushihigai/kawase.html)
報道等では,全銀協やFINMACなどの金融ADRで多数の案件が解決されているなどと公表されており,これら金融ADRは問題を早期に解決できるというメリットも大きい。しかし,その解決内容は,商品構造の問題に立ち入らずに,ヘッジニーズの有無やオーバーヘッジの有無にのみ着目して解決したり,そもそも解約規約金の計算方法が顧客側には不明であったりするなど,必ずしも公正かつ十分な解決がなされているとは言い難いと個人的には考えている。
 
金融庁が平成23年3月11日に公表した調査結果によると,中小企業向けデリバティブ取引の状況は,約6万件(1社2件),平均1200万円の評価損になっているということであり,未だこの取引の問題に気付かないまま,損害の発生に耐えている企業も多くあるように思う。 既に倒産の事態に至っている企業も多い。お心当たりの企業は,手遅れになる前に相談して頂きたい。