先端科学(担手としての国家)との対峙
- 2025.02.14
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1 現在の中国の動きについて興味がある。
経済的にはいろいろ問題を抱えているようであるが、国家的関与の仕方が余程まずければ別にしても、政治的体制いかんにかかわらず、多かれ少なかれ程度の差こそあれ、一国の経済が政府の財政を支えている以上、経済への政治的介入は不可避である。
ただ、昨今の習近平首相の発言を聞く限り、その後の国(人)民の反応をテレビや新聞報道で見ると、習首相の政治的支持基盤は最早相当程度減衰しているといってもよいのかも知れない。もっともあの国は極端な情報統制下にあるので、真相は不明というしかない。
ここでは、何の具体的根拠などないものの、習政権は準末期的様相を呈し出しているのではないかと想像している。
2 その様なタイミングで日本の首相が習首相との会談ないし訪中の可能性を探るというようなことも聞くが、日本側の責任者は一体中国ないし第三国で、誰と何を協議したいというのか、ということになろう。但し、トランプ政権を見据えて、実現性はともかく、日中関係の「基本的構図」を描いてみせるというのは一計ではあろう。多分、アメリカだけでなく、中国も乗ってくるのではないかと思われる。
実は日本にとっても在中国の日本人及び日本法人を含む経済的権益やその権利(殊に関係者の身体的安全)の問題は、喫緊の課題であろう。
まず、日本国民である限り、日本国はその正当な権利を擁護する義務がある。その意味では北朝鮮による拉致事件も同断である。北朝鮮の場合は、在北日本人を取り戻そうとすれば、軍事的衝突が不可避で、自衛隊にはこれに対抗できる実力もなければ、その法的根拠もないと言われれば、そうなのかという外ないのかも知れない。
そして中国も同断だというのか。しかし、中国は(国連発足メンバーであったとしても)ロシアと共になぜか(!)国連の常任理事国という地位・立場を維持している。まあ国際関係においては、時には「無法、違法行為」が形式的のみならず、実質的主体である国家間の関係なのだし、それが国家間の力関係によって規定され、「国連憲章」という「お題目」は戯言だというなら、いらぬ詮索は無用と主張することも、それはそれで理屈として筋が通らないわけではない。
ただ、ここまでくれば何をかいわんやであるが、その主張は一旦横に置きたいところである。
3 そこで、国際間、国家間における実効性のある規則とか規律というものは、定立しうるのか、というテーマになる。
「実効性」という視点からいえば、これを担保するものは、①軍事力、②経済力、③政治力 である。
実は③政治力については主張国のトップを含む担当者の力量による部分(側面)は無視できないとしても、最終的には主張国の①軍事力と②経済力、就く①軍事力以上に②経済力に依拠すると思われる。
①軍事力は一時的(当面)な限定された場面での戦術的有効性はあっても、永続的、長期的・戦略的な有効(有用)性には直結しない。長期にわたって力で押え込もうとしても、遅かれ早かれ破綻するであろう。殊に、情報が氾濫する現代では軍事力は一過性の効果しか生まない。
4 余談になるが、軍事力で押え込もうとするなら、大量かつ巧緻な虚偽情報を効果的に駆使するしかない。しかし、情報の氾濫する現代では、一般人(私のように携帯電話を含む機械嫌いや機械音痴の者)でさえも、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ程度からの一般的情報だけでも、これを読みこんだうえ選別することで、ある程度の情報の虚実は判別できるように思う。それだけ、現代社会は情報に満ち溢れているからである。この情報過多の時代をかいくぐって、重要な虚偽情報を社会の中で深々と流通させるのは、多分国家的関与なしには不可能であろう。
逆からいえば虚偽情報が長い間通用してきたとすれば、国家的関与を疑うべきなのである。
例えば最近明らかになった刑事冤罪事件や民事逆転再審事件然りである(どうも無実の死刑囚が大急ぎの手続きの中で刑死させられたという事案もあった疑いが発生している)。
5 米国のトランプ新大統領は、中国資本のテックトックというSNSについて、資本関係を一定程度いじる(操作する)ことによって、その存続を容認するとのことのようだ。
しかし、一般人には気の遠くなるような大量の通信内容についてさえ、最近の情報処理は、ある程度の手間と時間と費用をかければ、気の遠くなる程の大量の通信を分析整理して、利用者の地位や担当業務いかんによって、いわゆる秘密通信の直接的傍受や人的スパイ活動によることなく、受・発信者の情報内容を解析できるらしいということのようだ。
もっとも、トランプ大統領によれば、いわゆるXについて、ファクトチェックは不要ということらしい。となると、情報内容の解明はひと手間、ふた手間を要し、それなりに難しいかも知れない。ただ、結局は程度の問題でしかないと思われる。
6 「科学の進歩」、殊にAIなる「化物」の技術は各人の秘密(プライバシー)の暴露につながっていくようである。とすれば、政治の世界も、経済の動向も、「国家」という超人的存在の前では、いずれ無力化されていくのではないか、との懸念と不安に苛まれそうである。
もっとも、軍事の場面では、国家間の競争となるので、別の考察が必要である。
しかしいずれにせよ、好むと好まざるにかかわらず、私達個人は一人一人が国家と対峙してでも「自然法」としての「正義」を主張するという覚悟が、生きる上での大前提として必要であるのではないか。すると私達はこの覚悟なしには、最新科学と国家という超巨大な知識の集積と組織に押しつぶされることなく、自らの生を全うすることが困難な(不幸な)時代に突入してしまったのかも知れない。
そこで、いずれそのうち、現代における「自然法」とは何か、という問題の検討に入っていきたい。即ち、何と呼ぶかはともかく、「法律家」である以上、いわば人倫の基本的価値を「言葉(文字)」として汲み出せれば、一応の指標となるだろう、と考えただけのことである。
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