当面の21世紀展望
- 2025.05.14
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1 このところのトランプ大統領の対ウクライナ発言をきく限り、トランプとその側近の閣僚らが、ディールと称して(?)、ウクライナに対しここまで横暴な恫喝と横車を押してくるとは思わなかった、というのが率直なところである。トランプも中半計算づくとはいえ、このままなら万死に値する。プーチンもトランプも、一つ穴の狢というべきであろう。
そうなると、同時にロシアだけでなくアメリカ国民の民意の程度というのが疑われそうである。もっとも、別の意味で(宗教的及び本当はすぐれて政治的な意味合いをこめて)、慎重に検討するなら、最近のトランプ発言こそトランプの本音であり、大多数のアメリカ国民の真意なのかもしれない。
いやはや、我々はメッキのはげかかった21世紀の世界史を体験しつつあるのかもしれない。
2 更にその先(メッキのはげた21世紀の世界史)を想像してみると、最早、何をかいわんやである。
最大の問題は、地球温暖化の深刻化であろう。単純な化石燃料の抑制程度で解決する問題ではない。では、どのようにして地球上の全ての人間(出来れば全ての生物)が「健康に」生活しうるに足りる環境条件を確保できるかどうかに尽きる。
恐らく一定のところまでは技術改善によってできると思うが、抜本的には
①人口増を押さえこめるか(正に有効かつ合理的な少子化対策の実行)
②新たな(化石燃料を使用しない)エネルギー技術の発明とその実現ができるか
しかなかろうと思われる。①についてはともかく、②については当面太陽光(エネルギー)の再開発しかなかろう。この2点の現実化なしには、解決の道はなかろう。解決できなければ、人類のごく一部が生き残れるだけかと思われる。
3 そこで上記②について、技術的に可能かどうかはわからないが、素人の頭の中には、宇宙空間で太陽光発電をし、これを途中の障害なく地上まで送電できるか程度のことしか思いつかない。
当然、専門家の技術者からすれば、多分そんなことは百も承知、二百も合点の抽象論にすぎないにしても、人類が生き残れるか否かの瀬戸際なのだから、専門性にこだわることなく、文系を含め沢山の人の意向と判断を踏まえて、研究してみようという意欲のある人達に集合してもらうしかないであろう。
私が科学に期待しているのは、たとえその技術が無駄になろうが、研究資金の涸渇につながろうが、ともかくやってみるしかないだろうということである。
4 上記の技術的問題をクリアーできるとして、次に経済的問題である。しかし、この技術的解決の為には、経済的負担と損失に配慮するのは邪道である。
やってみなければわからない問題はやってみるしかないのである。この案件は、それ程に重大な課題だからである。産業界は、あげてこの研究を支えるしかない。国もその為には所得税とは別にその為の目的税を設定することも辞さずの覚悟を固めるしかなかろう。
5 もっとも、地球上の生物全般とまではいわないまでも、果して人類がそこまでして生き残る価値があるのか、という根本的疑問もないわけではない。 これを肯定するなら、人間が地球環境をこれ以上破壊、劣化させないという条件付になろうか。
それには、多分宇宙空間でのエネルギー開発を実用化するか、いっそ100年前のつつましい生活にもどるか、という究極の選択しかないのかも知れない。実際には、中間的にその調和のとれた組合せによる解決を検討するしかないであろうが。
さて、21世紀はなんとも不確かで曖昧な世紀になりそうである。それにしても、戦争などという愚行は論外である。
戦争が終わってからであっても、戦争責任者を処罰する国際法廷を実現する外ない。(多分、ロシア、アメリカ、中国、英国、フランスは反対するであろうが。彼らはまさに「人類の敵」なのである。これを解決するのはまともな教育しかない。)
6 私が20世紀後半から現在に至る世界史の流れを体験してきた限り、諸悪の根源は、国際連合の常任理事国制度にあるのではないか、と思われる程に、国連は劣化している。
戦勝国とはいえ、そもそも何故に半世紀以上にわたって米ソ中や英仏が常任理事国であり続けるのか。
(1) 大戦末期におけるソ連の無法な侵略行為(殊に旧満州や樺太及び旧北方諸島での暴虐行為)は、ウクライナ侵略時のロシア軍の比ではない。ソ連軍は第二次大戦時のうま味に味をしめて、軍事力をもってすれば、何事であれ黒を白にすることが出来ることを学んだ(理屈は後から何とでもつけられる)。
そのくせ、映画「地下水道」に見るように、ソ連は対岸にまで軍隊を進めながらポーランド民衆を見殺しにした。
(2) アメリカによる日本の主要都市に対する正に「皆殺し」を謀った「空爆」(殊に東京大空襲と広島、長崎への原爆投下)は、いかなる抗弁も言い訳も通じない。
余談だが、今頃になって、空襲被害者らが日本政府に対し米軍空爆についての損害賠償をしたいとか。別に日本政府に対する損害賠償がおかしいという気は毛頭ないが、それをいうなら、まずアメリカに対してであろう。
アメリカには原爆投下は無論のこと、東京をはじめ主要都市に対する無差別の大空襲に対して、日本人は何の抗弁も認められないと思いこんでいるようだ。
韓国では日本に対し既にその裁判をやっている。国家間条約の問題ではない。個々の国民が被害者なのである。
(3)本当はここまでくると、宗教的な例外はともかく、キリスト教という宗教イデオロギーに対する抜本的な疑問を禁じ得なくなる。
一神教自体の存在の当否はひとまず置くにしても、そもそも、キリスト教の排他性は容認し得るものではない。
結論的には、当時のアメリカ人(の多く)は日本人を「人間」とはみなさなかっただけである。そしてこの偏見の底には、キリスト教の影響が少なくなかったと思われる。
歴史的には、異教徒弾圧(裁判)に端を発したとはいえ、一般民衆レベルまでは、その根本的思想形成の上でその思考の完全な払拭はできなかった。キリスト教の悪しきイデオロギー部分であろう。
実は、英仏も国家としてのみならず一般大衆レベルでも、同様の思考方法の罠に陥っていたと思われるのは、アジアやアフリカの有色人種に対する仕打ちに明らかである。
(4) 中国の場合は、確かに今次大戦まで一方的に被害者であったであろうが、長い長い中国の歴史の中では、近現代史上は、(日本はともかくも)政治経済的かつ文化的に常に支配者であった。その現実は今次の大戦後また復活している。儒教や宗教が問題ではない。
余談になるが、台湾は中国の内政問題ではない。独立国家間の問題である。
7 要するに、常任理事国などといって、他国の評価や支持と無関係に、ありもしない(過去の)栄光とか功績とかいう虚構の評価にしかすぎない「権威」にあぐらをかいて、米ソ中英仏が「拒否権」なる「特権」を振り回すことを制度として容認しているのが現在の国連の政治的実態なのである。
それ故に、現在の国連は、実効性ある行動基準なり指針を打ち出せない。
それならいっそのこと、国連による直接的な関与を抜きにして、地域連合を更に充実させ、経済制裁を中心に対応した方がより効果的と思われる。
ウクライナを侵略しているロシアも、西側諸国の実質的経済制裁の解消を何よりも強く望んでいる。
ウクライナとの和平が実現するとすればそれはトランプの仲介の功ではない。
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