私の基本姿勢について
- 2018.10.01
- 業務一般
当事務所でも、とうとう各弁護士がブログを書くことになりました(以前から続けている者もおりますが)。頻繁には更新できないと思いますが、私が最も関心を寄せている「人間心理」の視点から、法律実務や危機管理等について備忘録も兼ねて書いて行ければなと考えております。
第1回目である今回は、自己紹介を兼ねて、従前のホームページで掲載していた〈私の基本姿勢〉を再掲いたします。
〈私の基本姿勢〉
私が依頼を受ける業務の中心は、訴訟を初めとする具体的な紛争案件の解決です。
企業間であれ、個人間であれ、当事者間では解決に至らなかった紛争事案を取り扱うのですから、何の苦もなく解決できる案件は一つもありません。自らの知識・能力・価値観を総動員してようやく適切な解決に到達できるというのが、率直な感覚です。
中でも、私どもは、次の能力の重要性を日々感じています。
①正確かつ速やかに事実関係を把握し、問題点を抽出する能力
②適切なゴールを設定し、そこに到達する合理的な手順を速やかに描く能力
③文章力
④交渉力
⑤心の動きを敏感に感じ取る能力
(なお、これら全ての能力の背景に豊富な法的知識を要することは言うまでもありません。)
①②は、紛争解決のための「戦略」を立てる能力です。軍師たる弁護士には、この能力が不可欠です。
③④は、描いた「戦略」を実現可能とする、弁護士にとっての「武器」という位置づけになります。具体的な「武器」を持っていなければ、いくら立派な「戦略」を立てても絵に描いた餅で終わってしまいます。
そして、
⑤は、①から④の能力を発揮するための、基礎となる能力となります。⑤の能力については、私の経歴もあって殊更に関心を寄せてしまうのですが、この点への拘りはあながち無意味なことではないと感じています。
紛争相手の心理はもちろんのこと、裁判官や依頼者の心理を理解しなくては適切な「戦略」を描くことはできず、有効な「武器」を選択することも、それを巧く使いこなすこともできません。各関係当事者の心理の理解は、言うまでもなく、適切な事案の解決には不可欠な要素です。
のみならず、多くの事案で感じるのは、自らの心理状態こそが、適切な事案の解決を阻害し、逆に適切な解決を促す要因になるという事実です。独りよがりな心理状態になっていないか、好戦的になっていないか、解決を焦っていないかなど、随時チェックすべき自分自身の心理状態というのは意外に多いものです。
こう言っては語弊があるかもしれませんが、訴訟などの紛争事案は、ある意味、勝負事の側面を有しています。スポーツや囲碁・将棋の世界がそうであるように、私どもの業務においても、関係者の心理を感じ取り、自分自身の心をコントロールすることが、より望ましい結果を生み出す鍵となると考えています。
-
前の記事
記事がありません
-
次の記事
最高裁判例を獲得しました 2018.10.19