ケフィア事業振興会(かぶちゃん農園),「オレンジプラン」の被害について(投資被害110番結果)

6月5日,東京投資被害弁護士研究会で「投資被害110番」を開催しました。相談件数は全部で45件であり,例年以上に多くの相談電話がかかってきました。

その中で集団的な被害が出ていると思われるのが,「ケフィア事業振興会」(かぶちゃん農園)と「オレンジプラン」です。いずれも,東京近県からの相談が多いのは間違いありませんが,全国の被害者からの相談がありました。年齢別では50代~70代の相談者が比較的多い,という結果でした。

1 このうち,「ケフィア事業振興会」(かぶちゃん農園)については,平成28年に1度相談を受けたことがありましたが,やはり問題が顕在化したか,という印象です。こちらの相談は20件近くあり,今回の110番で最多だったようです。

2 「オレンジプラン」(ゴールドマイン)については,無登録で「ポートフォリオコイン」などと称する金融商品を販売していたということで,証券取引等監視委員会(SESC)から裁判所への緊急差止命令の申立て(金商法第192条第1項)がなされています。こちらの相談も今回の110番で2番目に多いという結果でした。

https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180529-1.htm

仮想通貨を謳った取引を喧伝して,少なくとも延べ約8100名の一般投資家に対して延べ約31億円分の「ポートフォリオコイン」を販売していたようですが,SESCが緊急差止命令の申立てをするのは相当な事態です。

いずれについても,弁護団が結成される可能性があります。被害に遭われた方は,早めにご相談頂きたいと思います。

(主に東京在住の方の)ジャパンライフに関する相談について

以前から,いつ破綻するかと囁かれていましたが,この年末の押し迫ったところで,ついにその時が来たようです。

私も所属する投資被害弁護士研究会では,以前からジャパンライフ社との取引に関する被害相談を受け付けています。年末・年始にかけて,繋がりにくいと思いますが,東京近郊の方でご相談をご希望の方は,03-3556-3607(相談受付窓口:佐藤千弥弁護士)までご連絡頂ければと思います。

また,全国でも,先物取引被害全国研究会が主体となって,全国規模の連携(弁護団)を図るべく,動いております。遠方の方は,まずはお近くの消費者センター等にお問い合わせ頂ければと思います。

 

【以下,朝日新聞デジタル 2017年12月26日12時04分より引用】

磁気治療器ジャパンライフが倒産 1年で処分4回

家庭用磁気治療器を販売するジャパンライフ(東京)が2度の資金ショートをおこし、26日に銀行から取引停止処分を受けて倒産したことがわかった。民間信用調査会社東京商工リサーチが明らかにした。都内の本社は連絡がつかない状態となっている。                                   ジャパンライフは、高いもので数百万円を支払ったオーナーから磁気治療器などを預かり、レンタル収入として1年間で商品価格の6%を支払うとのビジネスを展開。しかし、保管する商品数が契約数より大幅に不足していたことなどから、昨年12月以降、消費者庁から特定商取引法違反や預託法違反で、一部業務停止命令などの処分を計4回受けていた

D9投資被害対策弁護団・sener投資被害対策弁護団 結成

あおい法律事務所の荒井哲朗弁護士らと,D9投資被害対策弁護団・sener投資被害対策弁護団を結成することになりました。

D9・senerは,「HYIP」(ハイプ)と呼ばれる,高配当投資プログラムなどと称される手法を,マルチ契約様の方式を採用して取引をするというもので,既に出金が停止されていたところ,テレビ東京系列のテレビ番組で放映がなされたことにより,被害相談が続出したようです。

私も,既に被害を受けた方の御相談を受けましたが,このような週・・%などという一見荒唐無稽な「投資」取引であっても,マルチや代理店等の方法で,知り合いが知り合いを紹介して上部勧誘者が儲かっている(ような)ところを見せる,という方式を採用することによって爆発的な広がりを見せるというのは,私が荒井弁護士と一緒にこれまでに取り扱った,「オール・イン事件」や,「121ファンド事件」とも繋がるものです。そういう意味では,D9やsenerの事件も,「HYIP」等の現代風な見栄えを作って,被害を生じさせていますが,これまでの投資詐欺の手法をアレンジしたものと言ってよいと思います。

被害を被った方がいらっしゃいましたら,あおい法律事務所のホームページ内にある,弁護団ホームページをご覧になって頂き,当該ページ内の指示に従って,御依頼の手続を取って下さい。この件も,今後,どうなっていくか分かりませんが,これまでの経験を活かしつつ,適切に対応していきたいと思います。

ZAITEN 2017年5月号にコメント

ZAITEN 2017年5月号の記事「みずほ『情報提供同意書』であなたの資産は丸裸」に,東京地判平成28年6月17日(金融・商事判例No1499,No1511等)の件で取材依頼があったので,コメントをしました。

私のコメントだけでも1ページ近くの分量を取って頂きました。「やりたいと思っていない人に勧誘して取引をさせるというのが根本的におかしいわけで、特に銀行側は自分たちが顧客に信用されていて、顧客の個人情報をもっているという責任を自覚してもらいたい。」などの私のコメントが掲載されています。

ご興味がおありになる方は,よろしければご覧ください。

東京地判平成28年6月17日の判例解説が掲載されました

私が担当した,認知症高齢者が,みずほ証券の仕組み債を購入した事案について,適合性原則違反・説明義務違反が認められた東京地判平成28年6月17日が,金融商事判例No1511の「金融取引の適合性原則・説明義務を巡る判例の分析と展開」に掲載されました。

私もよく知っている,あおい事務所の津田顕一郎弁護士に詳細な解説を書いて頂きました。特に,過失による適合性原則違反,過失相殺に関する論考は非常に詳細で私自身も勉強になります。

加藤新太郎先生,奈良輝久先生が編集されていますが,他にも重要判例が多数掲載されておりますので,よろしければお手に取って頂ければと思います。

レンタルオーナー商法に関するトラブルについて 講演を行いました(H28.11.24,11,29)

平成28年11月24日と11月29日に,消費者センターの相談員さん向けに,「レンタルオーナー商法に関するトラブルについて」と題する講演を行いました。

 レンタルオーナー商法とは,業者から,電話や訪問などで,「元本保証で高利回り」などとあたかも“投資”や“出資”,“預金”かのように勧誘され,商品の売買契約と,賃貸借(レンタル)契約等を同時にしたが,約束どおりの「賃料」や出資金が返還されない,という商法をいいます。同種の被害は,古くから形を変えて存在しており,従来は,特にクレジットやリースを利用したレンタル商法が目立っていましたが,近時では,クレジットやリースを利用しない,法律の隙間を狙おうとする,集団投資スキーム型や現物取引型の,レンタルオーナー商法の被害が目立ってきています。  

 http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20160908_1.html

今回は,(従来型の)クレジットを利用したレンタル商法について概観した上で,近時のレンタルオーナー商法にかかるトラブルについて解説しました。以下,講義で報告したレジュメの標題部分のみ,引用致します(もし,講義やレジュメの内容の詳細等について知りたいという方がいらっしゃいましたら個別にご連絡下さい。)。

 

 

第1 はじめに

 1 概要                                 

 2 クレジット・リースを利用した(従来型の)レンタル商法

 3 近時被害が増加しているレンタルオーナー商法(平成28年9月8日 国民 生活センター公表記事)

第2 レンタルオーナー商法の問題性

 1 法の隙間を狙った商法である〜どの法律が適用になるのか曖昧

 2 事業,契約の実態が不明である

第3 レンタルオーナー商法と金商法

 1 金融商品とは

 2 集団投資スキームとは

 3 適格機関投資家等特例業務とは

第4 レンタルオーナー商法と特商法

 ・ 現行の特商法における適用関係の考え方

【ポイント: 今回の特商法の改正について】

〜 仮想通貨,外国通貨などはどうか?

第5 レンタルオーナー商法と預託法

 1 預託法とは

 2 適用対象〜預託等取引契約

 3 政令指定商品・権利 

 4 規制

 5 金商法との関係 

 6 預託法改正の必要性

第6 まとめ(レンタルオーナー商法への対応)

 1 集団投資スキーム型

 2 現物売買型

 3 その他

                                    以上

CO2排出権取引について賭博行為で違法とする勝訴判決を獲得

平成28年9月7日,株式会社SUCCEEDS(サクシード)が行っていた,CO2排出権取引について,当該取引が賭博行為に該当し,公序良俗に反することなどを理由に,損害賠償責任を認める判決をもらいました(確定)。

CO2排出権取引とは,業者が提示するCO2排出権(二酸化炭素排出権)の価格を指標とする差金決済取引又は海外の取引所における取引を仲介すると称するものであり,いずれも顧客が証拠金を預託して行う点でレバレッジの掛かった取引です。法の 隙間をつく取引であって,悪質な業者による詐欺的取引の口実とされることも多々あります。

このCO2排出権取引について,賭博行為に該当し,公序良俗に反するものとしてその違法性を認めた判決はこれまでもいくつかありますが,汎用性のある判決ですので,報告します。該当の判示部分は下記のとおりです。

以下引用:
「本件会社は,本件取引を,本件会社のカバー先であるS社が提示するCO2排出権の価格及び為替レートを指標として,相対取引により,現物(CO2排出権)の受渡しを伴わない差金決済取引を行うものであるとしていることが認められるところ,仮にそのとおりであれば,S社が提示するCO2排出権の価格及び為替レートは,本件会社にも原告にも予見し得ず,またその意思によって自由に支配することができないものとみられるから,本件取引は,偶然の事情によって利益の得喪を争うものというべきであり,賭博行為に該当する。そして,本件取引につき違法性を阻却する具体的事由が見当たらないことに照らせば,本件取引は公序良俗に違反する」

第54回全国証券問題研究会(山形大会)で判決報告 〜 天童市観光

平成28年9月2日〜3日に,山形県
で行われた第54回全国証券問題研究会(山形大会)で,先日獲得した東京地判平成28年6月17日の判決報告を致しました。

上記判決については,最新の証券取引被害判例セレクト51号53頁に,全文を掲載して頂いています。また,全国証券問題研究会の判例データベースにも掲載され,解説もして頂いています。

http://cgi2.osk.3web.ne.jp/~syouken/db/data/280617.html

今回は,短い時間での報告であったため,重要な箇所しかお話できませんでしたが,全国の研究会で報告できたことは,非常に良かったです。この判決については東京の研究会や弁護士会などでも報告する機会がありましたが,追って別の形でも詳細について発表できたらと思います。

 

・・・で,報告を終えた後,1人で何故か,電車で20分ほどの天童市に来てしまいました。

天童市は将棋の聖地で,ポストにも何故か将棋の駒が飾られています。年に1回,人間が駒になってプロ棋士が将棋をするという,「人間将棋」というイベントも開催しています。

せっかくですので,七6歩,三4歩・・・と10手程,「1人人間将棋ごっこ」をした後,勝負が付かずに指し分けとなりました。帰りに,将棋資料館の隣の将棋教室のようなところを覗いたところ,なんと中川大輔八段が指導対局をしており,喜んで見学をして帰りました。山形,天童はとてもよいところでしたので,また来たいと思います。

みずほ証券の仕組債事案 判決(東京地判平成28年6月17日)確定

先日ご報告した,みずほ証券の仕組債における裁判の判決は,双方控訴せず,確定致しました(http://nishiginzalaw.com/wordpress/shima/?p=895)。

当方としても,過失相殺を3割されたことは不服ではありましたが,依頼者が高齢であることもあり,控訴しないという判断を致しました。

この判決につきましては,追って詳細な解説を書きたいと思いますが,ひとまず,安心しました。

 

仕組債の事案で勝訴判決 (東京地判平成28年6月17日)

 平成28年6月17日に,みずほ証券に対する損害賠償請求を認容する判決を獲得しましたので,報告します。

第1 事案の概要

 本件は,取引開始当時77歳(最初の仕組み債購入時)ないし78歳(最後の仕組み債購入時)であり,認知症等を理由に要支援の認定を受けていて,自宅で,1人で生活していた女性が,みずほ銀行の担当者からみずほ証券を紹介され,みずほ証券の担当者に,仕組みが複雑な「仕組み債」を,計4つ,合計で7146万4000円分支払ったところ,リーマンショックによる株価の暴落で,約4000万円の損害を被ったという事案でした。

原告が購入した仕組み債は,海外の会社が発行する,エクイティリンク債及びEB債というもので,購入後3か月は12.3〜25%という高利が得られるが,対象となっている株式(日本企業の株式)の株価に連動し,その株価が1つでも「ノックイン価格」を下回るなどした場合には,元金が大幅に毀損される危険性を有するものでした。

第2 本件訴訟の概要

提訴日は平成25年7月31日であり,請求額は4340万6592円(弁護士費用を含む),被告はみずほ証券(株)(当時,みずほインベスターズ証券)及び(株)みずほ銀行でした。

原告は都内在住の女性(取引開始当時,77〜78歳)で,取引開始前から,認知症で要支援1(当時。現在,要介護1)の診断を受けており,出資に充てたお金は,亡夫からの相続金でした。

主な争点は,①勧誘行為の違法性(適合性原則違反,説明義務違反),②みずほ銀行の責任,③損害,④過失相殺でした。

第3 判決の概要

1 主文

判決は,以下のように述べて,みずほ証券に対し,3038万6615円及びこれに対する平成23年10月14日から支払い済みまで,年5分の割合による遅延損害金の支払いを命じました。他方で,みずほ銀行に対する請求は棄却しました。

2 理由

①   適合性原則違反

「本件各商品の含むリスクが相当程度大きく,原告は本件各取引によってその抱えるリスクを過大に負担することになったものであり,かつ,そのリスクの大きさ及び仕組みの難解さに鑑みれば本件各商品の購入による損得を適切に判断するためには相当程度高度の投資判断能力が要求されるものであったと認められるのに対し,原告の年齢や認知症の程度に加え,その投資意向,財産状態及び投資経験等の諸要素を総合的に判断すると,●●(みずほ証券担当者)が原告に対して本件各商品の購入を勧誘したことは,適合性の原則から著しく逸脱したものであるというほかなく,これによって本件取引を行わせたことは,不法行為法上も違法と評価することができる」として,肯定しました。

②   説明義務違反

「原告の属性等は,前記1認定事実(1)及び前記4(3)において検討したとおりであって,原告の投資取引に関する知識,経験,財産状況等に照らすと,前記(2)の説明内容によって,原告において本件各商品の取引に伴う危険性を具体的に理解できるような情報が,必要な時間をかけて十分に提供されたとは認め難い」として,肯定しました。

③   みずほ銀行の責任

みずほ銀行の担当者が勧誘したとは認められないとして,否定しました。

④   過失相殺

一定程度の金額については,元本割れのリスクを含む投資を行う財産的な余裕を有していたなどとして,3割を過失相殺しました。

 

第4 総括

1 この事件が問題となった平成20年ころは,都市銀行・地方銀行により,複雑な仕組み債などの勧誘が活発に行われ,多数の高齢者に多額の被害を被らせていました。本件もそのような事案の1つであり,顧客の資産を把握し,顧客の信頼を置かれやすいみずほ銀行の担当者(証券会社出身)が,みずほ銀行の支店内で,みずほ証券の担当者を紹介し,仕組み債の仕組みや危険性を理解し得ない高齢者に,7000万円を超える仕組み債を購入させたという事案でした。

2 同種の事案は多数あったと思われますが,商品の難解性等を理由に適合性原則違反を認めて証券会社の責任を認めた判決は,本事案の結論としては当然といえますが,重要であることは間違いなく,同種事案の参考になると思います。

以上

(追記)

いくつかの報道機関でも報道されたようです。以下,朝日新聞の記事を引用致します。

 

(朝日新聞 平成28年6月17日より引用)

「仕組み債」と呼ばれるリスクの高い金融商品への投資を勧められて多額の損失を出したとして、東京都練馬区の80代女性が、販売したみずほ証券東京都千代田区)などに約4340万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日、約3040万円の支払いを同社に命じた。青木晋裁判長は「高齢で認知症もあった女性に、高度の投資能力が要求される商品の勧誘をしたのは違法」と認定した。

判決によると、女性は77~78歳だった2008年、みずほ銀行の紹介で、みずほ証券の前身の証券会社から四つの仕組み債を購入。計約7150万円を支払ったが、リーマン・ショック後に約4千万円の損失を出した。女性は複雑な商品への投資経験がなく、購入時に認知症を発症していた。

みずほ証券は「主張が認められず残念。今後については判決を詳細に検討した上で決定する」としている。